2007年3月10日土曜日

汽車汽船マーク

鰐の棒屋根ボストンの修理を少し進めました。
口金を完全に外しました。
そうして、革をよくチェックしていきます。
まだまだ立派に見えていましたが、やはり経年劣化は進んでいます。
古い革製品は、油分が抜けていくものが多いのです。それと同時に水分も抜けていきます。
革製品に水気は禁物と言いますし、私も基本的にはそのように説明させて頂きます。
けれども、革自体は水分を含んでいない事にはボロボロになっていき粉のようになり朽ちていきます。
適度な水分を保持し油分を持ち呼吸する。
そういった状態を維持出来ていなければ、ボロボロになっていきます。
同時にその何かが過剰であったり、汚れが付いたままだとカビの温床になっていきます。



大事に保管されていたこの鞄、幸いな事にカビは生えていません。
けれど、水分はかなり抜けていますし油分ももちろん抜けていました・・・・
ほつれ以外の部分でも、このままだと頻繁に動く箇所から裂けたり割れたりする事が予想されます。



この鞄をお預かりしたときから、実は秘かに口枠などから劣化し剥がれた革で柔軟剤のテストをしてきました。
柔軟性を確保し再生させられるように、何種類かのオイルや柔軟剤を試して合うものを模索して来ておきました。
まずは汚れを落としていきます。
それから、このあたりであれば大丈夫かなと思えるものを決めておきましたのでそれを全体に塗り込み余計な分は拭き上げ、少し時間をおき磨いていきます。
表からだけでは無く、内側からもとくによく動く部分や折れ曲がっている部分に塗り込んでおきます。
何日か寝かせて、革の柔軟性の様子を見ようと思います。



今日は、底を丹念に見ていてとある刻印を見つけました。
R0013195





最初は気が付きませんでした。汚れを落とし直しながらよくよく見て目に留まりました。



何の形だろう・・・・
絵に描き起こしてみていきました。



R0013200






このように見えます。
うーん、何かでみた事のある図柄だなぁとしばし考え込みました。



たしかあのあたりの本に載っていたと思い、鞄街道百余年を流し見ましたが見つからず、ならばこっちかと「松崎創業七十年史」を読み返しました。
ビンゴ♪



R0013204






どの時期に使われていたのかが明確には分かりませんでしたが、明治期から使われていたマークの一つでした。
汽車汽船マークです。



その上の写真、明治時代の三越本店の鞄売り場にも、背鰐の棒屋根ボストンが写っています。



2 件のコメント:

  1. おおたがき2007年3月10日 8:45

    ISABUROのサイトにも載ってますよ(^^;
    http://www.isaburo.com/phi/phi_f.html

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  2. あ、ホントだ。
    大手さんのページも見ておくべきもんですね・・・^^;
    大手の現行品にはあまり興味が向かないので、ページも見ていなかったりします。
    少し反省。

    返信削除

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